(30回)第2弾 みんなアベコベ、日本とスペイン!(8)
(Todo lo contrario, Japón y España)
= あやまるもんか ! = 
▽
ーーー “すみません!”と言わない人たち ーーー
日本人にとって「すみません!」の一言はとても大切。なにかというとつい口に出て
しまいます。 でもこれって、妙な言葉ですよね。
自分に非があったとき「申し訳ありません」の意味で使うのならわかります。つまりは
英語の“I am sorry !” スペイン語の“Lo siento !”です。
でも英語で“Excuse me !”、スペイン語で“Perdon !”という時も、私達はなんとなく
「すみません!」と言ってしまいます。

前を歩く人が、財布を落としました。 すると駆け寄って肩を叩いて、「すみません、
財布が落ちましたよっ!!」------- でも「すみません!」は本来は、もしその財布を
自分の懐にしまい込んで、それがバレちゃったときに使う言葉ですよね??
財布が落ちたことを教えてあげたのは決して悪いことじゃありませんし、レストランで
ウェイトレスを呼ぶのも、人に道を尋ねるのだって、何の犯罪にもあたりません。でも
日本人は何の不思議もなく、毎日この言葉を口に出しているのです。
スペイン人や欧米人にはこれがどうしても理解できません。そしてこう口を揃えます。
なんで悪くもないのにあやまるの?
たとえ悪くたって、あやまっちゃダメだよっ!!

そうなんです。ホントの話し彼らは、自分が悪くてもあやまらずに済ませたいのです。
なぜならあやまるということは、自分の非を認めることにつながると考えるからです。
公共の道路をレーシング場だと思っているスペイン人は、ものすごいスピードで他の車
を追い越し、追い越された車はその雪辱を果たそうと、さらにスピードを上げます。
したがって車の追突や接触、衝突事故は後を絶ちません。


そして彼らは、激しい口調で相手をののしり合って責任のなすり合いとなります。もし
そこで一言でもあやまったら、自分がすべての費用を支払わなくてはならないのです。
でもその考え方、ボクたち日本人にはどうしても理解できないな~!
先日バルセロナ市発行のあるカードが破れたので、再発行を頼みに行きました。すると
ひと月以内に郵便でお宅に届けますとのこと。ところがいくら経っても来ないのです。
そこで電話すると、ちがう役場に行けとのお言葉。仕方なくその窓口に延々並んだ後に
やっと番が回ってきて、一体どうしたのか聞いてみると、なんとそのお答えが、
「あー、係が忘れてたんだよ」 のヒトコト。
オイこら、日本だったら「すみません!」と丁重にあやまるところだゾ!、と思っても
ここでは通用しません。彼らはどんなことがあっても、この言葉を口にしないのです。
で、結局、それからまたひと月後に郵送されることになリ、今度はちゃんと、送られて
来たのですが、ジャジャジャ~ン!!  なんとそれは別のカードだったのです。
1回目は係が忘れてて、2回目は間違い、さあ3回目は何でしょう 
でもどんなにミスが続いても、ゼッタイに彼らの口から「すみません!」の言葉を聞く
ことはないでしょう。
ある日、日本語クラスに来た女の子が明るくこう言いました。
「今日この洋服買っちゃって、授業料払えなくなっちゃった~、ハハハ!」

次回は「遠慮の キモチ」を、お送りする予定です。