え〜っ、ボクがスペイン映画の俳優に!?
(第8回) 続々々・美意識(センス)のない世界!?
前回はアンダルシアのお話をしましたが、その旅行から帰ったと思ったら、ちょうど
その1ヶ月後ふたたび、アンダルシアに行く羽目になりました。それも、スペイン映画
のロケで!!
そうなんです、なんと、ボクは映画俳優にされちゃったのです!
役柄はマグロ漁船員の日本人、ジョージ。上半身裸でカメラテストまでされて、こんな
品粗な体で絶対出来るわけがないと逃げ回ったのですが、結局何十人もの候補の中から
どういうわけか、こんなワタクシが選ばれてしまったのです。
そのうえヒゲまで伸ばさせられて、行った先はもうすぐアフリカ、大西洋に面する港町
カディスとサンフェルナンドなのでした。その時のおバカなヒゲヅラ、見てみます?

映画のタイトルは「La Leyenda del Tiempo(時の伝説)」。フラメンコの歌を習いに
来た若い日本人女性と、やはりフラメンコを歌いたいのにそれが出来ない13才の地元
スペイン人の男の子が主役で、ボク、ジョージはその二人とさまざまに関わっていくと
いうストーリーのようです。 (いやホントのところ、まだよくわかっていません)
というのも、今はやりの「ドキュメンタリー的映画」とかいう手法だそうで、台本も
なし、台詞も決まってなくて、ただ適当にしゃべってればいいのだとか!なんと監督もどんな映画になるかわからないというのですから、
なんともスペイン的でしょ!! 
上の撮影中のレストランは、あの伝説的フラメンコ歌手のカマロンが初めて歌い始めた
ところ。有名なギタリスト、パコデルシアと共演したのもここ。そう、カマロンはサン
フェルナンドの出身で、主役二人はこのカマロンに魅せられちゃったというわけです。
店内にはカマロンの写真がそこいら中の壁にウジャウジャ!
これがその1枚です。

まあそんなこんなで、3週間近くスペイン人スタッフと仕事をしてみると、これはもう
信じられない世界! ロケの日程ははっきりしないワ、またも上半身裸にさせられるワ、
衣装や物はどこかに消えちゃうワ。そのうえメイクは暴力的、連絡は付かない・・の、
いい加減そのもの。そしてなん十回と撮り直しして画像にこだわるわりには、美的感覚
や気配りが、ポロッと抜けているのでした。 でも、みんないい人ばかり、
みなさん、お世話になりました~!!
▽ ▽
ところでヒゲを伸ばすというのは、ボクにとっては初めての体験でした。ヒゲ面って、
なんとなく不潔で陰気くさい気がして、毎日きれいに剃っていました。なのにそれを
1センチ以上も伸ばさなくちゃならないなんて、なんだか気が重かったし、なによりも
とっても恥ずかしかったのです。
ところが撮影日に向けてだんだんヒゲが伸びていっても、ここでは何も言われません。
じっさいバルセローナには無精ヒゲの男は山ほどいますし、スペイン人の友達も誰一人
そんなもの見ちゃいないんです。「おーい、元気! 調子はどうだい?」などと話しか
けてきても、決して、「お前、どうしたんだ、ヒゲなんか伸ばしちゃって!」なんて、
一度も聞いちゃきません。
(ついでにちょっと失礼なこと言っちゃいます、許して下さい!)
ここではどんなにデブだろうと、三段腹だろうと、ハゲだろうと、不細工顔だろうと、
あるいは、どんなに年を取ってヨボヨボだろうと、ほとんど気にしないのです。
もちろんその上にどんな奇妙な配色の服を着ようが、裸同然だろうが、それををドーノ
コーノと取りざたするようなことは、まずないと言っていいでしょう。
そういえば去年の暮れ頃、「スッポンポンで街中を歩いても、それだけの理由で警察に
逮捕されることはありません」という法律が成立した、という話しを聞かされました。
(残念ながら最近、ハダカで街を歩いてはいけないことになったようです??)
ところが一方ボクらはどうでしょう?
「彼氏の条件は、背丈が170センチ以上、体重は60キロ以下で~す!」なんて公言
してはばからない女性がどれほどいることか。またそういわれた男性達は、必死でジム
に通ってその条件に収まろうと努力しちゃったり。「理想の身長体重・計算式」なんて
ものまで、まことしやかに紹介される始末です。
身長体重だけじゃありません。髪はしなやかしっとり、目は二重まぶた、色は白くて、
肌はなめらか、胸はナントカ型で、お尻はきゅっと上がり、足はO脚でもX脚でもなく
ふくらはぎは・・・、も~、いつまでも、キリがありません!!
そのうえ若者がある年齢に達すると、親や周囲からこんな言葉が突き刺さります。
「あんたも、もうそろそろ結婚しないとね~!」
誰が考えたのか知りませんが、何歳から何歳までとやらの結婚適齢期があるようで、
それを外れると本人ばかりか親や親戚まで恥ずかしい思いをしちゃうんでしょうか?
私たちの頭の中には常に一種のワクがあるようです。そしてできればその中に収まって
いたいと考えてしまう。しかしどんなに素晴らしい体型の持ち主でも、理想に向かって
限りなくその幅を狭めていけば、いつも不安を抱えて生きることになってしまいます。
さらにそのワクにはまっているのが「いい人」、そうでないと「変な人」と呼ばれたり
して白い目(!?)で見られちゃう。これじゃあ、「いい人」も「変な人」も、お互い
疲れてしまいますよね!!
けれどもスペインでは、どんなデブでもハゲでも不細工でも(またまたすみません!)
自分も相手も気にしません。「え、なんでこんな人と!?」といったカップルが、そこ
いら中で、人目もはばからずしっかと抱き合って、ブチュブチュやっているのです。
へへ、この映像はちょっとヤリスギ?

一体、彼らにとって何が大切なことなんでしょう? もしそれが外形でないとしたら、
“愛の形”? “心のあり方”?? ・・・、それはいまだにわかりません。つたない
スペイン語で聞いてみても、本当の答えを聞き出すことはむずかしいことでしょう。
いや、彼らにだって、わかっていないのかもしれません。 でも知りた~~いっ!!
△
では、あらためて質問します!
あなたは顔や体型、服装など一切気にしないで、彼氏や彼女を選ぶことができますか?
できるとしたら、それは何故? できないとしたら、それは何故ですか??
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では次回の “ようこそバルセローナへ” を、お楽しみに!
*** !!出版のお知らせ!! ***

前もお知らせしましたように、このブログ「どうせ人生・ケセラセラ!」が“地球の歩き方”のダイヤモンド・ビッグ社より出版され、全国の書店に並べられています。みなさんのご購読のたまものと心より感謝いたします。
タイトルは、『熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記』。私たちのなんとも無謀な移住の顛末と信じられないハプニングの数々が、その後の出来事も含めてアレやコレや次々と登場します。ちょっと覗いてみて下さい。
これからもよろしくお願いしますね!!
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(Todo lo contrario, Japon y Espana !)
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◎ 『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
〈中高校生向けですが、‘哲学’についてもやさしく解説しています〉
◎ 『脳みそのほんとうの使い方《ビギナーズ編》』(日科技連出版社)
〈こちらはビジネスマン向け、姉妹編《マスターズ編》も出ていますよ〉
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